2011/02/28

バールの新聞

バールにはたいてい新聞が置いてあります。
主に全国紙、地方紙、スポーツ紙の三部であることがほとんど。

バリスタの仕事は、実は出勤前に新聞スタンド・エディーコラ(Edicola)に寄って新聞を買い揃える
ことから始まります。
エディーコラの主人もいつも誰がどの新聞を買っていくか分かっているので、
挨拶や雑談をしているあいだに、何も言わなくても新聞を受け取りお金を払っているという具合。

それから出勤。
まだ誰もいない薄暗い店内に入り、制服に着替え、今朝もバールに命を吹き込みます!
すべての機器のスイッチを入れ、ブリオッシュ(クロワッサン)をオーブンで焼き、
エスプレッソの味を調整し、バンコ(カウンター)を整え、新聞を並べます。
ブリオッシュが焼きあがったらすぐにオープン!
焼きたてのブリオッシュとカプチーノで朝食をとる人たちですぐに賑わいます。

彼らのバールでの朝食に欠かせないのがもう一つ、それが新聞なのです。
イタリアは、家庭に新聞が配達される習慣がないので、それぞれエディーコラで買うか、
バールで読むことになります。
ただし回し読みなので、一人で長時間独占しないのが暗黙のルール。
大きなニュースがある朝は、新聞を持ちながら周りに読み聞かせる人がいたり、
演説を始めたり、バリスタも巻き込んでみんなで議論になったりすることもあります。
(ここがいかにもイタリアらしいところ…)

特に月曜日の朝は多くの人が新聞を目当てにバールを訪れます。
ここでの主役はスポーツ新聞。
日曜日に行われるサッカー・セリエAの試合結果と記事に目を通すため。
新聞はめまぐるしく、次から次へと回し読みされていきます。

読み終えてそのままテーブルの上に置いている人がいれば、尋ねてみましょう。
新聞を指さしながら、「ポッソ?Posso?」=「(読んでも)いい?」と言えば大丈夫!
朝もピークを過ぎた11時以降なら、独占してゆっくり読んでも構いません。

昨日もインテルの長友選手がフル出場で活躍しました。
本職の左ではなく、右サイドバックとして初出場し、精力的なプレーで勝利に貢献しました。
今朝の各スポーツ紙は、長友選手に6.0の評価をつけています。

イタリア語が読めなくても、この評価点だけチェックしても面白いですよ!
10点満点ですが、満点がつくことはまずありません。
及第点の6.0を基準に、活躍すれば6.5、抜群に素晴らしいプレーなら7.0~7.5。
逆にやや不調なら5.5、悪ければ5.0、よっぽどひどいプレーなら4.0がつきます。

バールはただ飲食をするだけの場ではありません。
イタリア人が一日に何度もバールを利用するのは、情報収集の場でもあるからです。
その情報収集の手段の一つが新聞であり、他のお客さんやバリスタが添える追加情報なのです。
その会話こそ、イタリア人の庶民生活に入っていく大きな入口だといえるでしょう。

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