2012/05/30

イタリアのリキュール・カンパリ

イタリアのバールのカウンターには、色とりどりのリキュールやスピリッツ(蒸留酒)のボトルが
たくさん並んでいます。
レアなボトルを見つけたりと、眺めているだけでも楽しいのですが、ではその中で一番人気の
あるボトルは何でしょう?

答えは「カンパリ」。
イタリアが世界に誇るリキュールで、その鮮やかな赤色と爽やかなほろ苦さが特徴です。


バールでの消費量は他のボトルを圧倒していて、バリスタとしては、在庫管理と発注において
まずチェックするボトルでもあります。

一番人気といっても、それは消費量の話。カンパリ単体で飲まれることは、ほとんどありません。
例えば「カンパリ」と注文すれば、「カンパリソーダ」のことだと理解されるでしょう。
1930年代に発売されたカンパリソーダの小瓶は、そのデザインも変わらず愛されています。
カンパリソーダには、お好みで氷やオレンジスライスを入れてもらいましょう。
これに少量のジンを加えるのもポピュラー。

ボトルのカンパリ・リキュールを注文する際は、「ビッテル・カンパリ」(Bitter Campari)と言って
みてください。
白ワインやスプマンテに少量のカンパリを注ぐ注文も非常に多く、アペリティーヴォ(食前酒)に
ふさわしい華やかさを演出してくれます。

こうしたカジュアルな飲み方の他、やはりカクテルの材料として有名ですね。
イタリアでは、「アメリカーノ」と「ネグローニ」が大人気!
近年流行している「アペロール・スプリッツ」も、アぺロールに代えてカンパリを使う注文が
増えています。

日本で人気の「カンパリオレンジ」は実はそれほど注文は多くなく、「スプモーニ」に至っては、
その存在すら知られていないのが不思議ですが…。

Campari Soda

イタリアのバールはもとより、世界中で大人気のカンパリ。
その誕生はイタリア北部、ミラノ近郊の町・ノヴァーラでした。

この町でバールを経営していたガスパーレ・カンパリ氏(Gaspare Campari)が、「ローザ・カンパリ」
(Rosa Campari)と呼んだ新しいリキュールを開発します。
これが現在のカンパリで、レシピは当時とまったく変わっていません。
様々な野草、香草、果実を抽出したものですが、製法は秘伝として明かされていないため、
原材料は20種類と言う人もいれば、60種類と言う人もいるようです。

その新商品を売り出すべく、1860年、ガスパーレ氏はミラノ社交界の中心・ガッレリアに、
「カフェ・カンパリ」をオープンさせます。
カンパリはアペリティーヴォの主役として、瞬く間にミラノ市民に大評判になったといいます。

息子のダヴィデ・カンパリ氏(Davide Campari)が2代目を継ぎ、ビジネスに長けた彼の戦略のもと、
世界的な酒造メーカーとして大きな発展を遂げました。

カンパリは現在、世界190ヶ国以上で販売されていて、他の様々な銘柄もグループ傘下に
収めています。
チンザーノ(ヴェルモット)、チナール(アマーロ)、アペロール、フランジェリコ(ともにリキュール)、
SKYY(ウォッカ)、ワイルド・ターキー(バーボン・ウィスキー)などは、耳にしたこともあるのでは
ないでしょうか。

Bitter Campari

ミラネーゼ(ミラノっ子)の誇りであるカンパリは、今では「イタリアの情熱の赤」に形容され、
世界中でその輝きを増しています。

"CAMPARI"の"R"を取れば…、"カンパイ(乾杯)"ですね!
そんなシャレでイタリア人に日本語を教えつつ、今日もカンパリのグラスには友人の笑顔が
映っています。


カンパリ社・公式サイト(イタリア語・英語・ドイツ語)
http://www.campari.com/


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